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今日はこのへんで

エンジニアです。雑記がメインですがたまにプログラミング、スタートアップなどについて書く予定です。

「触楽入門」を読んだ

書籍

先日、慶応SFCの筧先生らが著した「触楽入門」を読んだ。この本は共著だけど、筧先生はインタラクションデザインを専門とされていて、自分も学部生のときの研究室がHCI(Human Computer Interaction)関連だったので非常に興味があった。

触楽入門

触楽入門

せっかくなので書籍のなかで個人的に面白かったトピックを少し紹介したいと思う。

触感は思考や判断を後押しする

イェール大学の研究では、被験者にある人の写真を見せて、その人について「あたたかい人」かどうかを判断させた際、温かいコーヒーをもたせたグループと冷たいコーヒーをもたせたグループとでは、温かいコーヒーをもたせたグループのほうが、写真の人を「あたたかい人」と判断する確率が高まったという。さらに別の実験によると、相手を座らせて交渉をするときは、硬い椅子よりもやわらかいソファに座ってもらったほうが、こちらの要求が通りやすいことがわかった、ということだった。

誰かになにかお願いをする際には、ホットコーヒーを持たせて柔らかいソファに座らせた上でお願いすると良いね。

指先は感覚の方向に区別がつかない

指先というのは身体の中でももっとも触覚に敏感な箇所のひとつなのだけど、実は垂直方向(押される・引かれる感覚)と水平方向(こすれる感覚)の感覚の区別がついていないということだった。

いわゆるハプティックフィードバックといわれるような、MacのタッチパッドやiPhoneのフォースタッチのときのフィードバックはこの指先の感覚の特性を利用して、実際には押されていない(垂直方向には動いていない)のに、(水平方向に震えて)押されたように錯覚させているみたいだ。

実際にMacのタッチパッドを爪先で押してみても押した感覚はないけど、指先だと押したように感じる。改めて指摘されるとなんだこれって思う。

味覚が5つに分類されるように、触覚も4つに分類される

味覚には、甘味、酸味、塩味、苦味、うま味の5つの因子がある。それと同様に、触覚も硬軟、冷温、乾湿、粗さの4つの因子で感じ取っているということだった。しかも、この4つの因子で触感のすべてを説明できているわけではないらしい。

味覚でうま味があとから発見されたように、触覚でも新しい概念が生まれる可能性があるかもしれないね。

音は触感を増幅する

ポテトチップスを食べるときのサクサクという音、これを録音して大きく聞かせると、ポテトチップスがよりサクサクしているように感じさせることができるらしい。また、触感に関連した音だけでなく、ホワイトノイズ(細かい砂嵐の音)を聞かせると指先で感じる粗さの感覚が増幅されるという研究結果があるらしい。

そういう意味では、勢い良くすすって食べるラーメンや、ごくごく飲むビールなんかが美味しく感じるのも、実は自分で自分を騙している結果なんじゃないかと思ってしまう。

テクタイル・ツールキット

テクタイル・ツールキットは触感をリアルタイムに記録し、別のものに感触をコピーできるというツール。これはビデオ見たほうが良い。

TECHTILE toolkit - YouTube http://www.techtile.org/techtiletoolkit/

マイクと振動子しか使わないすごくシンプルなツールなのに、僕らは簡単に感覚を騙されてしまうというのがわかる。


世界がソフトウェア化/VR化されていくなかで、触感によるフィードバックによって、よりリアルな感覚を得られることがより重要になってくることは間違いない。そういう意味でこの本で触覚について勉強できてよかった。

個人的に記憶に新しいのは Nintendo Switchのジョイコンに搭載されたHD振動 なのだけど、視覚的なCGの進化だけではない、触覚についての機能の進化によって、ゲームがどれだけ臨場感のあるものになるのかこれからすごく楽しみだ。

他にも触覚についてのいろんな話が載っているので、気になったら読んでみると良いと思います。