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今日はこのへんで

エンジニアです。雑記がメインですがたまにプログラミング、スタートアップなどについて書く予定です。

「身近な人が亡くなった後の手続のすべて」を読んで、葬祭業界について少し調べた

ビジネス 書籍

確定申告や行政手続がネットでできることも多くなってきた。住宅選びや結婚式場の予約も、ネットが入り口になることが当たり前になってきた。

そんななかで、同じく大きなライフイベントの一つである葬儀法要や相続手続きについてはネット化、もしくは簡略化されていっているのだろうかと疑問に思い、本を読んで少し調べてみた。

身近な人が亡くなった後の手続のすべて

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葬祭業界では低価格化が進んでいる

葬祭業の市場規模

葬祭業の市場規模は 経産省の特定サービス産業実態調査報告書 で確認することができる。

平成27年の数字だと、冠婚葬祭業務の内訳以下のようになっており、実は結婚式場業務の2倍くらいの規模がある。

  • 結婚式場業務: 年間売上高 4757億円
  • 葬儀業務: 年間売上高 1兆1301億円

また、葬儀業務のなかでも式典進行・設営・葬具業務の売り上げが5600億円と、一番構成比が高い。

なんだけど、実はこの葬祭業の年間売上高は減少の一途を辿っており、過去三年間で半分くらいになっている。

  • 平成25年: 2兆1584億円
  • 平成26年: 1兆5432億円 (前年比▲28.5%)
  • 平成27年: 1兆1301億円 (前年比▲26.7%)

なぜ葬祭業の市場規模は縮小しているのか

売上高は基本的に単価 x 購入回数で計算できる。つまり、葬祭業務の料金と、葬祭を行う回数が問題になる。

国立社会保障・人口問題研究所の人口統計資料 によると、死亡数は年々増加の一途を辿っており、死亡数が減っているわけではない。なので、おそらく葬祭を行う回数はそれほど減っていない。

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ということは、売上高の減少は葬儀業務の低価格化が原因なのだろうか。結論から言うとそのとおりで、家族葬・直葬の一般化が全体的な葬儀業務の低価格化の原因となっていると思われる。

最近では通夜や告別式をしない直葬サービスが多くでてきており、イオンなどの異業種も参入してきている。直葬サービスでは通夜・告別式を行わないため、サービス料金は一般的な葬儀と比べて安く収まる。

余談だけど、ちょっと前に”DIY葬”をやった増田がバズったりもした。実は葬儀業務には資格等は必要ないため、自分でやっても法的には問題ない。はてブのコメントも含めてとても興味深いと思う。

お坊さんをお呼びした家族葬(D.I.Y.葬)が総額42,360円で完璧に出来たお話

葬儀の簡略化で影響を受ける寺院たち

こうした直葬サービスの一般化で影響を受けるのは、葬儀屋だけではない。特に葬儀の際のお布施が収入源の一つとなる寺院の危機感も強いみたいだ。

平成25年の文化庁発行の宗務時報 に載せられた北海道大学大学院教授の論説でも、最近の社会構造の変化と宗教の役割について論じられている。

寺院仏教では葬儀・法要をますます手放さなければならない状況が出てくる。葬祭業や墓苑業は寺院の領域に食い込んだとしても協働関係は維持していた。問題は,直葬といって正式な葬儀・法要を営まない(営めない)人が増えてきたことと,墓の維持管理が根本的に無理な世代が登場してきたことである。(略)年老いて後,子供が近場にいるというのは贅沢な望みである。葬送を自由に行うとか自分らしいエンディングとかいったライフスタイルの問題から寺離れが進んでいるのではない。檀家になれないのである。檀家による護持会費はもとより,法務による布施は当てにならぬものになろう。

世代交代に伴って宗教観もより変わってくるだろうし、こうした家族葬・直葬への流れはより一般化していくんじゃないだろうか。

葬儀前後の難儀な手続き

さて、葬儀前後の手続きの話。本を読む限り、葬儀前後の手続きはとにかく書類仕事が多くて大変。以下に関係書類を本のなかから抜粋してみた。

葬儀直前・直後

  • 死亡診断書
  • 死体検案書
  • 死亡届
  • 火災許可申請書

葬儀後(生活サービス等)

  • 公共料金の支払い停止
  • 各種民営サービスの支払停止
  • 葬祭費・埋葬料の支給申請
  • 高額療養費の請求申請(入院等で高額な医療費を支払っていた場合)

戸籍関連

  • 復氏届(配偶者の死後姓を戻す場合)
  • 婚姻関係終了届(配偶者の死後婚姻関係を解消する場合)
  • 改葬許可申請(改葬する場合)

年金関連

  • 年金の需給停止
  • 遺族年金の受給手続
  • 寡婦年金の受給手続
  • 死亡一時金の需給手続
  • 児童扶養手当の受給手続

相続手続

  • 相続人の調査(戸籍謄本取得)
  • 相続の放棄/限定承認
  • 遺言書の検認
  • 遺産分割協議
  • 預貯金の相続手続
  • 株式・不動産等の相続手続
  • 保険金の受取手続
  • 遺留分減殺請求

相続後の税金関連

  • 青色申告承認申請
  • 所得税の準確定申告
  • 相続税の申告

葬儀・生活・戸籍・年金・相続・税金とカテゴリ分けできそうだけど、特に相続(とその後の税金関連)が特殊で大変な業務といえそう。

だけど、相続手続きについては、手続きに入ってしまえば司法書士や税理士に相談しながら遺族が話し合って決めることであって、簡略化がされる余地というのは考えつかなかった。

一方で、本の中では、遺言やエンディングノートを残すこと、生前贈与の手続きをすることが死後の手続きの簡略化や税金対策のためにおすすめされており、こうした手続きは一人で可能なので、(いわゆる終活の一環として)オンライン化、簡単化するサービスみたいなものは今後出てきても不思議ではないように思う。実際に本を読んでみても、遺言の書き方のルールや税金控除の手続きが複雑なように感じた。

もうあるのかな、面倒で調べてないけど。。


というわけで葬祭業と相続手続きについて少し調べた話でした。

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