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今日はこのへんで

エンジニアです。雑記がメインですがたまにプログラミング、スタートアップなどについて書く予定です。

がんばれ日本の自動車メーカー!自動運転の未来はすぐそこだ!(技術編)

概要編に引き続き、自動運転について見ていこうと思う。今回は技術をより掘り下げる。

特許を多く持つ日本メーカー

ThomsonReutersのレポートによると、実は自動運転関連の特許(2010年-2015年)を一番多く持っているのはトヨタらしい。さらに上位5位をみても、デンソー、日産、ホンダといった企業が並んでいる。

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http://images.info.science.thomsonreuters.biz/Web/ThomsonReutersScience/%7B86ccb67a-e45a-4c3a-8513-5350b39929de%7D_tr-automotive-report-2016_final.pdf

実際に特許の詳細を見てみないとわからないのだけど、衝突回避システム関連の特許が多いようだ。日本企業の知財管理はしっかりしてる。

自動運転を変えるAI技術

なんだけど、実際の自動運転開発の現場では状況が少し異なる。ここ1,2年の自動運転技術開発は、ディープラーニング等のAI技術が発展したことによって革新したといっても過言ではなく、自動車部品等のハードウェアの領域ではなく、ソフトウェアの世界で進んでいる。

Level 3相当の技術はすでにコモディティ化している?

そして、Level 3相当の自動運転技術はすでにコモディティ化していると言って良いと思う。その理由が NVIDIAのDRIVE PX 2 だ。いわばJavaScript界のjQuery、ゲーム業界のUnityみたいなものだと思っている。

DRIVE PX 2は、ディープラーニング用のAIを積んだ車載用コンピュータで、2016年初頭に発表された。自動運転に必要なセンサーデータの融合を行ったり、ディープラーニングを用いてトレーニングを行い、高精度な道路上の物体検知を可能にする。また、センサー情報から3D地図を作成することもできる。

Volkswagen、Daimler、Volvo、Hondaなど、Tier1の自動車メーカーがすでに採用を発表している。また、Teslaは昨年の事故のあと、自動運転技術をDRIVE PX 2ベースのものに置き換えている。(*1)

こうしたAIプラットフォームを使ってどれだけ周囲の環境の認識精度を高められるかが、これから自動車メーカー各社の戦いとなっていくことでしょう。

公道のデータを集めているのはどこか

自動運転技術の技術にディープラーニングを使っているとなれば、認識精度向上の肝になるのは走行データになる。

カリフォルニア州の年次報告によれば、公道実験での走行距離が圧倒的に長いのはGoogleだ。2桁違うって・・・。その次にはGMとNissanが続く。

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http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/senmon_bunka/detakatsuyokiban/dorokotsu_dai2/siryou3.pdf

実質、公道実験を行える州は非常に限られているので、もうこれだけで各メーカーがどれだけ先行しているかわかるようだ。やっちゃえ日産。

(余談だけど、シリコンバレーに研究拠点があるトヨタが入っていないのは気になる。そもそもカリフォルニア州DMVの自動運転認可リストにも入っていない模様。(*2) なんでだろ?)

インフラとなる3D地図データ

車両がセンサーで感知できる範囲のみで安全に交通上の問題を解決しようとすることは不可能なので、道路状況、信号の状態等までを含めた3D地図の整備をすることが、一般道での高レベルな自動運転の実現には欠かせない。

3D地図プラットフォームで一強?のHERE

実は、この3D地図のプラットフォームを提供している HERE というドイツの会社がある。2015年にNokiaから売却され、BMW、Audi、Daimlerといった欧州自動車メーカー3社が主要株主となっている。2016年以降もIntelやTencentの資本参加があり、最近パイオニアとも提携が発表されて注目を集めている。(*3)

各提携パートナーから、欧州/中国/日本の地図データがHEREに集まることになると思うし、これから更にHEREのプラットフォームが拡大していくことは間違いないと言える。

アメリカではちょっとわからないけど、Googleがデータを大量に持っているので、Googleが3D地図を含めた自動運転プラットフォームを提供する、ということが今後あり得るかもしれない。

日本では合同で会社を設立へ

日本では、政府が主導となって 戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)自動走行システム研究開発 を計画しており、その検討課題のひとつとして地図情報の高度化を目指している。

この地図情報整備のために、日本の会社6社と自動車メーカー9社が協力し、ダイナミックマップ基盤企画株式会社という会社を設立した。(*4)

出資比率は以下の通り。

三菱電機株式会社 18%、株式会社ゼンリン 17%、株式会社パスコ 17%、アイサンテクノロジー株式会社 6%、インクリメント・ピー株式会社 6%、株式会社トヨタマップマスター6%、いすゞ自動車株式会社 3.3%、スズキ株式会社 3.3%、トヨタ自動車株式会社 3.3%、日産自動車株式会社 3.3%、日野自動車株式会社 3.3%、富士重工業株式会社 3.3%、本田技研工業株式会社 3.3%、マツダ株式会社 3.3%、三菱自動車工業株式会社 3.3%

マップのデータをメーカー各社から集めることで、共通の地図基盤を作ることができる。地図データはまさにインフラなので、良い流れのように思う。

日本メーカーは自動運転技術で勝てるのか

自動運転技術の開発にはAIを存分に扱える人材が不可欠だと言える。実際、身の回りでも日産やホンダが機械学習エンジニアを募集している求人広告を見ることがある。

厳しい日本のIT事情

深刻な問題として、日本はAI人材が米中にくらべて非常に少ない現状がある。

Yahoo! CSOの安宅さんが経産省に提案し、少し前に話題になったAI×データ時代における⽇本の再⽣と⼈材育成 の資料から少し抜粋すると、日本はICTエンジニアがアメリカの3分の1しかおらず、しかもこの大半がSIerにおけるCoderだというから、現状は非常に厳しい。

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AI×データ時代における⽇本の再⽣と⼈材育成

日本の自動車メーカーは、海外から優秀な人材を引っ張ってくる必要があるだろうし、国内だと理工系の数少ないAI人材(東大の松尾研の研究生とか)を青田刈りして連れてくるしかないと思う。

IT企業のエンジニアにはなにができるのか

こと自動運転技術に関しては、今はおそらく、人材がいないせいで、機械学習の経験が少ないエンジニアにも採用の間口を広げているだろうから、ちょっと勉強するだけで市場価値が非常に高まるいい機会だと思う。なので勉強するといい。

機械学習であればCourseraの有名なコースがあるし、いまはDeep Learningも日本語で読めるいい本がある。

自動運転技術についても、MITのコースUdacityのプロジェクト が見つかるので、独学できる範囲でも学べることは多い。オープンソースで自動運転技術を開発しているスタートアップのComma.aiのリポジトリにも面白そうなもの(commaai/research)があるのでチェックしてみると良いかもしれない。


ということで、雑に自動運転についてまとめてみた。機械学習の勉強をしたいと思いつつできてないのが残念なので僕も勉強します。

ゼロから作るDeep Learning ―Pythonで学ぶディープラーニングの理論と実装

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